多くの作品を世に送り出し、ベストセラーになった作品も多い作者。現在は日本大学の理事長を務められ、エネルギッシュに活動されています。しかし、学生時代は全く仕事ができず、挫折も多かったそうです。良い年の取り方とは精神や人間性が成熟へと向かうこと。世の中のいたるところに散りばめられている成熟スイッチとは?
こんな人にオススメ
これから社会人になる人
人生を充実させる年の取り方をしたい人
自分の年齢に不安を感じる人
人間関係の心得 人間関係は成熟の財産
初対面の人と会う時、特に年代が違っていて共通言語や時代感覚のない相手と接する時、どのようにコミュニケーションを取ればいいのか悩みます。多くの有名人と対談をする作者は「変に気取ったり出し惜しみをせず、自ら胸襟を開く」ことで初対面の人の心を開くことを実践しています。
また、憧れの人には自ら積極的にアピールし、信頼関係を得るためにちょっとした手土産を欠かさない。愛を惜しみなく与えること。得ることよりも与えることを意識したいです。
人間関係は年とともに変化していきます。人付き合いの新陳代謝を繰り返していくうちに人間関係に悩まなくなってくる。と作者は言います。確かに、子どもが小さい間しょっちゅう会っていたママ友とは疎遠になり、次のステージでの人間関係へと変化していきます。
中年以降は意識して自分と違う世界の人たちと付き合う。本業とは別の世界を持つ人は魅力的です。そんな人を目指したい。
世間を渡る作法 世の中の作法に従ったり世間と折り合っていくことは成熟の条件
人はやってあげたことはいつまでも覚えているけど、やってもらったことはすぐに忘れてしまう。だからこそ、きちんとお礼を伝えられる人は自分の評価を上げることができます。食事をごちそうになったらその場でお礼を言うのはもちろん、次に会ったときにもお礼の気持ちを伝える。感謝をきちんと伝えられることを意識していきましょう。
時間を使うのがうまい人は優先順位の付け方のうまい人です。頭を切り替えるのがうまいといっても良いでしょう。また、揉め事やトラブルによって心の平穏を奪われない事も大事です。嫌な気分から回復するのは時間がかかるので、人の不機嫌に巻き込まれない、巻き込まれたとしても回避するすべを持つようにしたいものです。時間を味方につけるには、1人の時間の使い方も重要です。すき間の時間を有効利用することによって人生の充実度はかなり変わっていきます。
面白がって生きる 年をとっても好奇心を漲らせていられる人生
欲望を満たすためのお金は面白がって生きていく上で意味のあるものです。お金は人を積極的にし、やりたいことをしたり、欲しいものを手に入れる手段です。自分のためにお金を使うだけでなく、若い人に「本物を伝える」ためにお金を使えることも大事。
仕事をどう面白がるか。キャパを超える仕事も人間力を試されてると思って取り組んでみる。背伸びなくして成長はありません。また、仕事を通して、耐える・自分を抑える・折り合う・理不尽を乗り越えるという経験をすることは人を成長させます。仕事をしている人は「真面目に働いている」という事実に無条件に自信を持っていいのです。
遊びも中途半端にやらない事。自分の時間の大切さを自覚している人ほど遊びにも惜しみなくエネルギーを注ぐのです。
人生を俯瞰する 客観的に現在の自分を見極めること
成熟のためには俯瞰力と自己愛が必要。人生において時間軸で俯瞰すると良い運と悪い運で人生の運の総決算はプラスマイナスゼロになる。俯瞰力は人を謙虚にさせてくれたり、時に励ましてくれたり、物事を長い目で考えさせてくれます。自己愛はバッシングされたり落ち込んだ時にたとえ根拠のない自信であっても自分を力づけてくれます。俯瞰力と自己愛をバランスよく持っていれば、人生の苦難がちっぽけなことに見えたり、少しでも面白く乗り越えられたりすることはあると思います。
若かりし頃の筆者の悲しいながらも俯瞰してみると笑えてしまうエピソードは本当に面白いです。
家族に対しての思いの変化によっても自分の成熟が感じられる。親に対して若いころに思っていた感情と年を取ってから抱く感情は変っていきます。親に対して感じていた不満などの感情が昇華され、いい思い出として思い返せるようになるのは成熟の証ではないでしょうか。家族といれば煩わしさもあるし、一人でいれば孤独もある。自分で選んだ人生は自分で落とし前をつけなければなりません。
「成熟スイッチ」感想
林真理子さんのバイタリティを尊敬してやまないファンの一人として、この本に書かれている林さんの行動力や気配りを勉強させていただきました。このブログには本書に書かれている様々なエピソードについては触れていません。ぜひ本を手に取って読んでいただきたいです。
「ちょっとしたことでいいから何か新しいことをして、昨日とは少し違った自分になってみる。」
成熟は一日にしてならず。大いに成熟した自分に出会うために自分の小さな成熟スイッチを押し続けたいと思います。
コメント